本日は農林省が主催した「6次産業化フェスティバル」に参加してきました。
その事例として、長野のジビエ料理のシェフである藤木徳彦さんの話を聞いたのですが、
これが素晴らしい地域活性の例で思わず感動してしまいました。
ここでその内容を紹介したいと思います。
ジビエ料理とは鹿、いのしし、野うさぎなどの野生の鳥獣の料理のこと。
フランスでは好んで食べられる料理です。
長野はジビエ食材が豊富なことで有名な地域で、
たとえばカラスや仔イノシシなど、駆除の対象になる食材を使った料理を出すレストランもあります。
藤木さんはその中でも最も使いやすく、しかも地元が頭を悩ませている鹿に目をつけました。
長野県では適正頭数3万頭に対して10万頭の鹿がいて、農作物を食い荒らす食害を起こしています。
そこで東京から長野に移住して、鹿肉を地元の資源(ジビエ)として使った宿泊兼レストランの経営をはじめたそうです。
この方の素晴らしいのは、レストランに留まらずにカレーなどの加工食品の生産で地域活性の環を作り上げたことです。
ジビエ独特の調理ノウハウを使ったレシピを藤木さんが作成し、
カレーに使う野菜は規格外の野菜を地元JAに集めてもらって代金は農家へ還元。
そのレシピは誰にでも美味しく出来るようになっていて、地元の障害者施設で調理設備があるところへ依頼し真空低温調理法で加工、
販路はJRと組んで販売したそうです。これが東京駅、上野駅などの都市部で大好評なんだとか。
地元産業を何とかしたいという熱意が非常に大きく、
これを上手くつないで、利益を産む「持続可能な仕組み」を作ることに成功したわけです。素晴らしい!
他にも、いろんな面白い話を聞きました。
イタリアやフランス料理でよく使われるポルチーニ茸が自生しているのに誰も見向きもしておらず、
これを見つけて地元で活用した話(藤木さんもそれを知らずに開店当時はわざわざイタリアから輸入していたそうです)、
厄介者の外来種であるアメリカザリガニも食材として掘り起こし、
今では地元では採れなくなってしまうほどの人気食材となった話。
「地元の人にとっては石ころでも私からすると宝の山。足元にダイヤモンドが転がっている」と藤木さんは言います。
要は、食べ方、表現の仕方で資源の価値がガラッと変わるということです。
この方、全国にジビエ料理を普及させる活動が忙しくなり、本業のシェフの仕事に影響が出ているとのことで、
今年の5月末に「日本ジビエ振興協議会」という組織を立上げ、仕組みとしてのジビエ料理の普及支援を続けています。
本業を置いてでも、相談を受ければ全国を飛び回るというバイタリティーに脱帽しました。
「人のつながりが産業を生み出す」。これが藤木シェフの最後の一言でした。
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