7月25日から「GPEC 施設園芸・植物工場展」に行って来ました。
午前中しか時間がなかったので、駆け足でざっと見てきたのですが、
未来の野菜生産を担うかもしれない植物工場の様子は、やはりインパクトがありました。
大和ハウス工業の植物工場ユニット「agri-cube」という商品があります。
これは2012年4月5日より販売されている3坪ほどのコンパクトな設備で、
住宅業界初の”商品化された植物工場ユニット”です。
生育状況に合わせた光の調節、栽培棚の清掃、エアコンなど、必要な設備をパッケージ化しています。
3坪ほどの小さなスペースしか使わないのに、年間1万株もの葉野菜を生産することが可能という、驚くべきものです。
将来的には分譲マンションやコンビニでも独自に野菜を作れるようなユニットを目指しているとのこと。
この方法なら、たとえば被災地の復興など、自然状況的に野菜の栽培が厳しいところや
農業を続ける人手がない、ノウハウがない等、現在の地方農業が抱える様々な問題を解決することができます。
私がテーマにしている「地域の自立・活性化」に一役買う可能性が十分にあるもので、前から注目していたのです。
この展示会では、agri-cubeの中に入って説明を聞くことができただけでなく、他にも植物工場の現状についていろいろな情報を得ることができました。
印象に残ったのは、種苗会社が植物工場を扱っている点です。
いろいろな作物の育成ノウハウを持っているので、この手の産業に適性があるようです。
植物工場では、LEDライトによって実現する、光の色による野菜育成コントロールというテーマがあるのですが、
この技術はまだまだ研究の途上で、コスト的に厳しいようです。
現段階には従来の蛍光灯での照明のほうが現実味があるとのこと。
植物工場での野菜育成コストは、現在はまだ通常の野菜生産の何倍もかかるため、
現状では土の農業のほうに軍配が上がります。
ですが、将来的に工場のライン生産が可能になってコストが下がってくれば、
一般に大きく普及することも十分に考えられます。
(すでに沖縄など生鮮葉野菜が取れない場所では、本土からの輸送を考えるとコスト的に見合うようです)
作業の標準化や自動化が行われているものもあるので、単純作業を障害者雇用につなげることもできます。
植物の工場生産という従来の野菜生産法を覆すような農業も、キュレーションの対象にしてしていく必要がありそうです。
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