8月13日にこんなセミナーを聞いて来ました。
「サスティナブルシティ~市民提案による新しい社会システム-市民が技術を理解し市民が作る社会」。
原発の事故以降の、市民が自発的に行動するようになった時代に向けた、
専門家からの技術情報の提供、という趣旨の講演会です。
内容は、電気自動車(EV)の導入による地域活性化の事例紹介がメインでした。
農を起点とした地域活性を標榜している私にとって、”食とエネルギーの自給”は大きなテーマです。
今回聞いた事例は、低炭素社会を意識しながら
小水力発電などの地域資源とEVなどのスローな移動手段を活用して地域起こしをするという話がメインでした。
なかなか刺激的で、面白い講演でした。
特にエネルギーという面で、地域という広域のシステムを考えた時、
発電や送電を自立的に行おうとすると国内の縦割り行政や法律の壁がとても厚く、実現が難しいところを、
地域資源を使って発電した電気をEVが運ぶ
(EV自体の燃料として電気を使うのではなく、蓄電して他の場所へ運ぶ)という方法を使うと、
送電を法の壁をすり抜けて実現する可能性があるという話が新鮮でした。
他にも印象に残ったのが、
国民の80%がBOP(Bottom Of Pyramid=1日2ドル以下で暮らす貧困層)であるフィリピンでの
EV導入プロジェクトの事例です。
フィリピンでは人口9000万人に対して500万人もドライバーがおり、
その多くが黒煙を撒き散らす古い車に乗っている貧困層です。
彼らが生計を立てるために使っている移動手段を奪わずに、環境と生活レベルの両方の改善を実現するために、格安EVの開発と導入を行なっているのです。
生産拠点をフィリピンに置けば、貧困層の雇用にもつながり、
車を仕事に使う貧困層も、ガソリン代が減るので実入りが増えるという話でした。
現行の車の置き換えとして、つまり乗り物としてだけEVを考えては失敗するということでしょう。
このセミナーでは、あのセグウェイの紹介もありました。
日本では忘れ去られたかに見えるセグウェイですが、実は定着していないのは日本とイギリスなのだとか。
セグウェイは安全機能が高いので、
ちょっとよそ見をしたり周りの人と会話しながら走ってもあまり事故が起こらないようで、
まず警察から導入するのが一般的だそうです。
目立つことに加えて地域の人とのコミュニケーションも増えるため、
犯罪率の低下にも効果を上げているようです。
「時速20キロというゆっくりとした移動手段が、人のコミュニケーションを変える」
という話もありました。
EVが開く未来が私達の生活をどう変えるか。
農を起点に据えた地域活性にも、必ずEVは絡んでくるに違いないという手応えを得ました。
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