8月10日に放送されたTBSラジオの「荒川強啓デイキャッチ!」で、宮台真司氏が登場して興味深い話をされておりました。
スローフード、ロハスといった農業にも大きく関係する人気ワードと知られざる種の話を
分かりやすく話しておられて面白かったのですが、
今回私が宮台氏の話を紹介したいと思ったのは、そこに「私の生き方」を表現する重要なキーワードを見つけたからです。
氏がラジオで話した内容の要約をしつつ、私の立ち位置についてお話したいと思います。
最初に「種」の話から始まります。これが実は深い話で、
今私達が食べている野菜のほとんどが、「F1種=ファーストフィリアル」という、異種間雑種の第一世代の種です。
この異種間雑種という方法を使って種を作ると、病気に強く粒ぞろいの野菜が出来るのです。
外食産業やコンビニのニーズに合わせるために、同じような形の野菜を作ることを求められた農家が、
同じくらいのサイズの野菜を量産できるF1種を使うようになったんですが、
この野菜からとった種で二代目の野菜を作ろうとすると、なぜか全くバラバラな野菜になってしまう。
なので、毎回種苗会社から種を買わなくてはならない。つまり企業に依存している状態なのです。
でも、食料自給率が低いおかげで市場が小さく、ほぼ国内企業からの提供に終わっていたのが、
TPPで世界の巨大企業が日本市場を席巻する動きが出てきたと。
この企業というのが、遺伝子組み換え穀物など以前の記事で話題にしてきた「モンサント」なのです。
そしてここが重要なのですが、「ロハス」と「スローフード」の違いについてです。
皆さんは、この違いが分かるでしょうか?
この番組でも紹介されていましたが、
スローフードとは実は、有機野菜やトレーサブル(消費者が生産地を特定できる)な野菜を食べること、ではなく、
地元の農産物を少し高くても買うことで、
地元の産業や経済、雇用にはじまり、地域文化や人間関係や街並み、そして食品の安全
すべてを守ることができる、というものです。
こういう地域で有機農業をやること。「自立的有機」と私は呼んでいますが、
これこそまさに、私が選んだ「有機な生き方」なのです。
これに対して、ロハスはアメリカの巨大スーパーが作った言葉で、有機やトレーサブルな野菜を食べることを意味していますが、
地域の自立とは全く関係がありません。それどころか、企業依存型農業を助長してしまう可能性が高い。
一口に有機といっても、その本質が何なのか、選ぶときによく考えてみることが大切だと思います。
是非、地域の自立に役立つものを買って下さい。
他の記事でも紹介した「中食」や「外食」で使われる野菜は、
一円でも安くするための効率化や調理法の簡素化のために、
素材が本来持っている栄養素がほとんど失われてしまいます。
そして、企業依存型農業の極みでもあります。
自立的有機では、基本の土づくりから、ひいては地域資源循環型の社会を作ることを考えます。
この志こそ、私がアグリキュレーターとして活動しようと思い立った原点であり、
これからもずっと追い求めていく「有機な生き方」そのものなのです。
皆さんは、どんな生き方を選択しますか?
それは、生活のなかの小さな選択でもかまわないのです。
企業が工場で作った食物を選択しますか?それとも、身近な循環の中から生まれてきた、
大地そのものである野菜を選択しますか?
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