8月28日の読売新聞「論点」欄に、明治大学農学部の小田切教授が、「逆都市化」という現象について寄稿していました。
イギリス(特にイングランド)では、1970年代以降、都市から農村へ人口が戻る現象が続いていて、
これを指してイギリスでは「逆都市化」と読んでいるとのこと。
イギリス映画などを見ていると、ロンドンは別として、自然あふれる田園風景が描かれることが多い気がしますが、
実際に農村は英国人にとって「心のふるさと」なのだそうです。
日本も今まで何度か「田舎暮らしブーム」がおこりましたが、これは一過性のブームで、いつの間にか消えてしまった。
これは農村に対する無関心が根本原因だったのだが、最近では若者世代を中心に、ブームとは言えない動きがある、と氏は語っています。
都会の無縁社会のなかで生きるより、自分の存在が確認できる場所を探しているとみえるような変化が起こっていると。
氏はこの現象を「日本型逆都市化」と言っています。
一方で、28日の各新聞ほとんどが取り上げた、今年の大卒者の2割に安定雇用がないという調査結果に関するニュース。
私は上記の「日本型逆都市化」という楽観的に見える現象の真相が、
若者達が安定した雇用が得られないために、地方や故郷に居場所を探しているなんて事ではないように、と祈ってやみません。
小田切氏の寄稿では、都会生まれの若者が農山村でNPOのメンバーになったり、自治体の非常勤職員になっているということを
農山村への本格的な移住の現れであるように捉えていますが、
NPOのメンバーや非常勤職員が、果たして安定した雇用といえるでしょうか?
農山漁村自身が魅力ある場所に変わっていくこと、雇用の場をつくり、次世代も含めて
いきいきとした地域へと変化することが、今本当に必要なことなのだと、つくづく考えさせられました。
職がなければ、若者世代の夢も希望も奪ってしまったも同然です。
都会であぶれてしまった若者を、田舎が柔軟に受け止められるように、
そうした意味でも地域の自立と活性化は早急に実現しなければならない課題なのです。
私ももう少し肝を据えて頑張らなくてはなりません。
RSS feed for comments on this post. / TrackBack URI