去る9月5日から7日まで、東京ビッグサイトにて「グルメ&ダイニングスタイルショー」という展示会が開かれていました。
「安心・安全で健康的な食生活で暮らす~日本の食の地域ブランドの再興に向けて~」というテーマだったのですが、
そのなかで私がちょっと気になったのが、福島の「川俣シャモ」というブランド鶏の話です。
デザイン性の高いキッチングッズや最先端のメニュー、食材、コーディネートなどを紹介する会場のなかで
被災地支援イベントとして紹介されていたなかのひとつがこの「川俣シャモ」で、
なるほど、その土地名が出るだけで大きな風評被害にあってしまう被災地の復興にも
地域ブランドを使おうとしているのか、その勝算はどのくらいあるのかと興味を持ったのですが、
その内容は、私としては首を傾げてしまうものでした。
そもそもこのシャモ、地元の在来種の血は四分の一しか入ってないそうなのです。
というのもシャモは闘鶏用で肉が固いのでそのままでは食用に適さず、
外来種と掛け合わせて食べやすい肉のシャモを作ったとのこと。
それに加えて、飼料はアメリカ産トウモロコシを70%も使っているとの話で、これには驚きました。
外来種の血が四分の三で、食物の70%がアメリカ産であるシャモを、「地域ブランド」と言ってもいいのかどうか。
もし被災地復興のために地域ブランドの鶏を育てたというのであれば、
やはりせめて地元の飼料で育てるべきだし、そうでなければ地域復興とは言えない。シャモを育てて売っておしまいだからです。
地元の穀物から飼料を作り、地元産の鶏を使って、地元で加工をして都市へ売り出すとか、
地元のレストランで提供するとか、それが地域復興のための地域ブランドであるはずです。
それに、輸入飼料に頼っていたら日本の食料自給率も上がらないどころか、
9割が遺伝子組み換え種であるアメリカ産トウモロコシの使用で、安全性への配慮が欠けていると言われても仕方ありません。
私達が「地域ブランド」に対して持っているイメージには、地域密着型の、選りすぐりの材料で作られた、
素朴で安全な食べもの、というものがある程度あると思います。
この川俣シャモはそのイメージを完全に裏切ってしまっているのではないか。私はそう危惧せずにはいられませんでした。
被災地の食物が厳しい風評被害にさらされていて、いかにそれが重く厳しい現実であるかという話をそこで聞き、
そしてその気持ちは痛い程わかる気がします。
でも、だからこそ「安心・安全」や、「消費者の持つイメージ」に応える形で商品開発を行うべきではないでしょうか。
…とういようなことを、このブースのアンケート用紙に長々と書いてしまいました。
私は被災地ブランドだからこそ応援したい気持ちが強く、だからこそ、率直に思いを伝えたかった。
地域おこしとして、作り手の都合で商品開発をするのはよくないと思うのです。
在来種を使い、地元の穀物で元気に育ったブランド鶏を研究し、そこからヒントを得て誠実なブランド食品を作ったほうが、
他の畜産物と明確な差別化を図れるし、ひいてはそれが本当に地域振興になると、私は信じています。
RSS feed for comments on this post. / TrackBack URI