朝日新聞の9月22日土曜版「be」の「フロントランナー」というコーナーで、シェフの奥田政行さんという方が紹介されていました。
この方、山形の庄内地方にあるイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフで、
カフェ&ドルチェ「イル・ケッチァーノ」や、銀座にある山形イタリアンの店「サンダンデロ」など
庄内地方にこだわった店で話題の方です。
この方、「地場食材の救世主」と呼ばれているそうです。
毎朝集まってくる地元庄内の食材を見てからメニューを考えるのだそうですが、
レストランのサイトではそれを「庄内を皿に描く」という風に表現されています。
毎日が即興料理みたいな状態ですから、その下準備は並大抵のものではなく、
メニュー開発の勉強のため、平均睡眠時間は3時間とのこと。
やはり、保守的で内気な地元の生産者たちの信頼を得るのが難しいことはどこも同じで、奥田さんも大変苦労されたようです。
「生産者の人たちと話すため、土壌や水、海洋、気候、地形、地理、歴史などについて猛勉強しました。
体系的な知識があるから、新しい味が作れるんだと思っています」という言葉が大変印象的でした。
(地元の在来種にこだわった野菜とレシピづくりを描いたドキュメンタリー「よみがえりのレシピ」も山形が舞台でした。
山形は今、農を主体とした地域再生の要の地となりつつあるのでしょうか?)
長野のジビエ料理シェフの藤木徳彦さんの例でも分かるように、
食の地域資産を再発見することで活性をはかる時、キーになるのはメニューであり、
そのメニューを考えれられるシェフが中心になる場合とそうでない場合とでは
結果の出方(もしくはその速さ)に大きな差が生じてきます。
地域資産から食材を見つけだし、食という形で最終の消費者と生産者を繋ぐ立場にいるシェフは、
実は「アグリキュレーター」そのものではないかと思えました。
奥田さんの場合は山形素材を使ったイタリア料理店を銀座に開くことで
都市と地域を繋ぐことに成功している。
藤木さんの場合は、メニューをマニュアル化して加工を地元に任せることで、
地域活性の輪を作ることや地域外への商品の発信にも成功しています。
これらの例は、私の今後にも大きな影響を与えると思っています。
(ところで、ひとつ気になることが。
奥田さんが東京ソラマチに開いた新しいプロジェクトである「ラ・ソラシド フードリレーションレストラン」という店で、
前にこのブログでも苦言を呈した川俣シャモを使っているとも書いてありました。
アル・ケッチァーノは山形屈指の自然派レストランだそうですが、
米国産飼料が70%も使われている鶏肉を使うことをどう考えているのでしょうか?
機会があれば、奥田さんに一度お話を伺ってみたいです。)
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