つい先日ブログで紹介した「一個の人間」という詩。
白樺派の文人、武者小路実篤による作品で、その詩に強く共感したという話をその時に書きました。
どんな詩だったか読みたい方は、このリンクからどうぞ。
http://tad-a.com/blog/?p=375
武者小路実篤は、彼の考える理想の世界を実現しようとした「新しき村」の創設者としても有名です。
先日武者小路実篤記念館を訪れたとき、その「新しき村」の機関紙を見て、
表紙に描かれていたマークが、私が代表をつとめる「TADA」のロゴマークにそっくりだった、との話までをしました。
その時は学芸員(キュレーター)の方とお話する機会が持てなかったので、
今回もう一度訪ねて、実物を見せてもらいながら、マークの意味について教えてもらってきました。
これは新しき村の旗のデザインで、実篤自身が描いたものに編集者が色をつけたのだとか。
前回見たときは白黒の資料だったのですが、今回は実物を見せていただいたので、カラーです。
色がついているほうが一層美しく、調和のとれたものに感じられます。
内側の4つの正方形にそれぞれ塗られた、白、赤、黒、黄色の4色は肌の色で、
「各人種を象徴する色を合体し人類平和、共生の理想を海と空のいろで包むものです」と説明書きにありました。
まさに、あらゆる理想を実現しようとする村にふさわしいデザインです。
TADAのロゴマークにある4つの正方形はそれぞれ、
Technology
Agriculture
Design
Associate
を意味し、私がバックグラウンドとして持っている技術的知識を農業に活かして
すでにある地域資源を新たに結びつけることによって
農業の再生、ひいては地域の活性と自立をデザインするという、私の目指すものを表しています。
新しき村の旗にあって、TADAのロゴマークにないもの。それは、4つの正方形を囲む大きな四角、
つまり、私の追求するもの、理想とするものを包み込む、もしくはその土台となるものの表現です。
もし私がここに大きな四角を足すとするならばそれは、「有機な生きかた」になると思います。
循環型社会、真の意味での地域の自立。自立を生きるための有機。
そんな土台を、当たり前に皆さんと共有できる時代を創りたい。私は心からそう願っています。
実篤は「新しき村の未来」という文章のなかで、こんな言葉を残しています。
「僕は理想を現実までさげる事を喜ばない。同時に現実は現実と見て、それを甘く見る事を喜ばない。
登山者の如く山をよく知って甘く見ず、頂上を目指して一歩一歩進む事が大事である。
大勢になるといろいろの人が居る。大いにいい事だが、それだけ皆の協力に賢さが大事であり、
又努力が大事になる。それがうまくゆけば新しき村は健全に生長し、やがては世界的になるであろう。」
都市と農村、生産者と消費者、すべてが一体となって、新しい健全な未来を残すために努力を続ける。
農と食をめぐる問題を克服するために、一歩一歩理想を実現していくことが私の使命だと、決心を新たにしました。
「新しき村」は現在でも残っていて、そこでは実篤の理想に共感した人々が生き生きと暮らしています。
その様子はまさに、「有機な生きかた」であるようにも見えます。
いつかそちらにも足を向けて、理想郷を体験してみようと思います。
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