パプリカの話を聞いた明治大学アグリサイエンス講座で、こんな話も聞きました。
前回に引き続き、施設園芸(いわゆるハウス栽培)の話だったのですが、
日本での農業者所得の上位を占めるのは施設園芸の生産者なんだそうです。
理由は、ハウスのお陰で一年中生産できるから。でもその分忙しいということでもあります。
一方で、施設園芸は設備費用や暖房費用などコストがかかるので、
工夫しないと輸入品に価格競争で敗れてしまいます。
そんななか、10月31日のテレビ東京モーニングサテライトが紹介したのは、
施設園芸の世界で、付加価値の高いもの(つまり高く売れるもの)を低コストで作るための施策例でした。
私が興味を持ったのは、北海道十勝のノラワークスジャパンの取り組みです。
クリスマス商戦の時期に生のマンゴーを売りだして高い付加価値をつけるという戦略の話なのですが、
この時期は生のマンゴーが出回ることはなく、贈答用に一個16000円から20000円という高値で売れるそうなんです。
それで、どうやったらクリスマスにマンゴーを実らせることができるか?
そのために、実に十勝らしい工夫が凝らされていました。
育成のために必要な暖房に、十勝地方の温泉の熱を活用してエネルギーコストを削減。
マンゴーを育てるためには「冷やす」ことも必要なのですが、それも十勝らしいやり方でコスト削減しています。
これはマンゴー育成のポイントのひとつで、
花芽をつけさせるためには、夏の暑い時期に地面の温度を約一ヶ月間10℃程度に保っていなければならない。
この温度調整のために、冬の雪を貯蔵しておいて地熱を下げるという工夫をしているのです。
この冬に最初の出荷だそうです。昨年の実験では、糖度15%と、とてもよい数値が出たようです。
現在、旬の時期に農産物がで獲れすぎてしまって、市場に頼ると安くなってしまうという問題に生産者は悩まされていますが、いつなら売れるかという逆転の発想で勝機を得ようとしたところが面白ッ!と思いました。
さらにそこにある地域資源によってエネルギーコストを削減するという、
マーケティング的に素晴らしい方法を農業にも応用した点が興味深かったです。
コストを抑えて高く売るというのがビジネスの原則です。
何をどのような顧客に売るかというところからの発想が素晴らしいですね。
マンゴーのブランドとしては、宮崎の「太陽のたまご」が大変有名ですが、
このクリスマスのマンゴーもこれからブランド化していくと付加価値がより高まるのではないでしょうか?
その時、どんなネーミングをするのでしょうか?
どストライクの「クリスマスマンゴー」もいいと思います。「サンタの贈り物」とか。
真正面すぎますか??
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