11月27日に行われた「食のブランド・ニッポン2012」というイベントに行って来ました。
これは独立行政法人の農研機構が主催して、そこでの研究成果を一般に紹介しているのですが、
そこで行われた基調講演が大変おもしろかったので紹介します。
昭和学院短期大学学長の畑江敬子氏による講演だったのですが、この方の専門は調理科学。
調理や食品保存など、食に関するあらゆるいわれ、噂などを、科学的に検証してきたのだそうです。
で、そこで話された内容が、料理をする上で「常識」と思われていたことが覆る、驚きの結果だったのです。
1:家庭の冷蔵庫で野菜を保存するとき、野菜が畑にあった時と同じように立てた状態で入れるのがよい
⇒☓
置き方は野菜の品質(重量、水分、ビタミンC)に影響を与えない。
むしろ縦置きにすると倒れて下積み状態になってしまう場合もあるので時々チェックする必要も。
2:野菜は加熱すれば柔らかくなる
⇒△
基本的に細胞間のペクチンが分解されて柔らかくなるが、加熱温度が重要。
じゃがいも、人参は80度で加熱してしまうと食べられる固さにはならない。これは再加熱をしてもだめ。
また、Ca塩、Mg塩は野菜の加熱による軟化を防げるので、牛乳や味噌のなかで煮ると野菜は柔らかくなりにくい。
ところが2%ほどの食塩を加えると、この塩分が加熱軟化を促進する。
低温で柔らかくならなかったものも食塩を加えると柔らかくなる。
3)味付けは「さ(砂糖)、し(塩)、す(酢)、せ(醤油)、そ(味噌)」の順番にやらないと味がしみない。
⇒☓
順番に入れた時と一緒に入れた時で、食べたときの味の感じ方には差がないという報告がある。
細江氏の実験でも、砂糖と塩については、それぞれ独立に食品の内部へ拡散していくことが確認された。
4)煮物の味は冷めるときにしみ込む
⇒☓
味は加熱開始から温度上昇の間にしみ込む量が多い。
また、加熱終了後も保温したほうが味がしみ込む。
ちょっと、びっくりでしょ?
「さしすせそ」は料理の基本として習った方も多いと思うんですが、
それが都市伝説だったというのはなんだか、
今まで大事に言い伝えられてきたおばあちゃんの知恵が台無しになってしまったようで
若干の寂しさを感じたりもしました。
この他の情報には、なんでも野菜を冷蔵庫保存するのは良くないという話もあったんですが、
特に南国が原産であるキュウリ、なす、かぼちゃ、ピーマン、いんげん、オクラ、さつまいもなどは
冷蔵庫に入れておくと低温障害が起きるという話です。
……皆さんの冷蔵庫の野菜室に入っている野菜ばかりだと思うのですが、どうでしょう??
食にまつわる都市伝説、他にもいろいろあるかもしれません。
個人的には「二日目のカレーが一番おいしい」が本当なのかどうか知りたいです。これが都市伝説だったら、ショックだなあ。
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