引き続き「食のブランド・ニッポン2012」で行われた畑江氏の基調講演からの話です。
始めちょろちょろ中ぱっぱ、プツプツいったら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな。
これは皆さんご存知の「お米の炊き方」です。
畑江氏はこれが都市伝説かどうかを検証しつつ、美味しく炊飯するコツを科学的に調査したんだそうです。
で、結果はというと……
「始めちょろちょろ」
これは、お鍋の中が完全に沸騰していない状態を指しています。
ご飯の甘味は、酵素の働きによるグルコース成分の増加によってもたらされるのですが、
このグルコースの増加は米粒の温度が40度~60度の間に急増するのだそうです。
また、うま味成分である様々なアミノ酸は、60度~80度の間で増えるのだとか。
つまりこの温度帯にある時間をある程度維持しないと、甘さやうま味が出ないということです。
「中ぱっぱ」
ぱっぱ、とは、完全に沸騰している状態を指します。
でんぷんが糊化すると柔らかで美味しいお米になり、消化もよくなるのですが、
糊化は鍋の中の水が100度を保っている間に進むので、
沸騰している時間をキープすることも必要なのです。
「プツプツいったら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな」
これは蒸らしの行程です。
水分が米粒に吸われて、ご飯のなかの水分が安定した状態になるまで
急激に温度が下がるのを防ぐために、蓋はとらない。この最後のひと押しが肝心です。
ということで、こちらの言い伝えは都市伝説ではなかったということで、一安心。
しかし、お米を炊くのに最も大切なプロセスは、
炊く前の「浸水」の状態なのだそうです。
お米を洗った後30分以上浸水することで、でんぷんの糊化に必要な水分がお米の中まで行き渡るようにする。
ちゃんと浸水できてないと、米粒の外側のみに糊化層ができ、
お米の中心に水分が行き渡らず、芯のあるごはんになるそうです。
また、炊き込みご飯を作る場合、浸水の時に味付けするとお米の吸水が妨げられるので、
浸水が終わったあと、お米を炊く直前に味付けするのが失敗のない炊き方だとか。
お米がどういう風に炊けていくか、炊飯器に頼っているとわかりづらいです。
一度わたしも炊いてみようかな?
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