1月7日付の朝日新聞の記事で、「鳥獣保護区、食害で削減」という話題が取り上げられました。
私が何度もこのブログで取り上げてきた、ジビエ料理と鳥獣被害ですが、
この新聞記事を見ると、全国的に相当深刻な状態であることが分かります。
縮小した保護区は、実に東京23区の広さよりも大きい7万2千ヘクタールにもなるとのこと。
特にシカやイノシシなどの被害が深刻で、ハンターに入ってもらって駆除の対策にしようというものです。
身近なところでは、奥多摩がシカ食害によって砂漠化している問題があります。
そこもやはり狩猟と、狩った鹿肉をレトルトカレーとしておみやげで売り出すという方法で対策を行なっているようです。
記事のなかで、専門家は「どのくらいの捕獲数が適当かを決める人と、その通り捕獲できるハンター」
がいないと生態系を維持できないと言ったとありました。
しかし私は思います。これは、害獣の数だけの問題なのでしょうか?
もともと人は自然の循環のなかで生きて来ました。
そして身近な里山に人の手を入れることによって共存してきました。
堆肥となる落ち葉や薪などを山から採るために、積極的に山に手を入れてきた。
まさに人工的な山である里山を、必要がなくなると放置してしまう。
ともに生活の循環サイクルのなかにあったのにです。
記事のなかでは「保全」といっていますが、それは「共存」とは違います。
悪くならない程度に維持するという程度になっている。それでいいのでしょうか?
問題の根底には、戦後の植林政策も影響しています。
一般論ですが、杉、檜といった建材となる品種に
シイやクヌギのような実のなる(つまり動物の餌になる)樹木が変えられたこと、
針葉樹が堆肥になる落ち葉を出さないことで農村の生活循環もなくなったこと。やはり大きいです。
そうまでして植林した建材も、東南アジアの安いものに押され、国内の森林は手入れされなくなり、
日の入らない、つまり自然の循環ができにくい、暗い森となってしまった。
こういった根本的なことに目をむけなければ、食害の被害は克服できないと思います。
どうすれば里山を、自然と生活の循環のなかに戻せるか。
それには私達がまず里山とともになければいけません。
ここで、地域の小さな自立と循環型社会が脚光を浴びるわけです。
その持論については、また記事を改めてしっかりと述べたいと思っています。乞うご期待!
有料会員のみの記事ですが…
– 朝日新聞朝刊2013年1月7日「鳥獣保護区、食害で縮小 シカ・イノシシ捕獲促す」
鹿対策に狼の導入 参照 http://japan-wolf.org/content/faq/
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