もしかしたら化学肥料がいらなくなるかも?というニュースを。
1月10日付けの日経産業新聞に「放電した水で野菜促成栽培」という記事が掲載されました。
以下、記事を抜粋します。
「岩手大学の高木浩一教授らは、放電でできた水を利用することで温室野菜の成長を促す技術を開発した。
空気中の窒素を肥料に変え、細菌の繁殖をおさるという。小松菜で試したところ、
通常の栽培方法よりも8倍ほど大きく成長した。
岩手県農業研究センターと共同で実証試験を開始。2~3年後の実用化を目指す。」
「一日30分間放電して作った水を小松菜の鉢植えに与えて生育状況を調べたところ、3週間後、普通の水だけの場合とくらべて6~8倍大きくなった」
肥料を作るメカニズムには色々と細かい話があるのですが、
何よりも重要なのは「空気から窒素を取り込んで肥料を作ることができる」という点。
植物の3大栄養素は窒素、リン酸、カリウムであり、とりわけ多くの窒素を必要とするのですが、
今までは農業生産者は化学肥料としてメーカーから買っていたわけです。
その構図が覆されるかもしれない可能性が出てきた。いや、可能性というよりもっと現実に近い話です。
2~3年後の実用化を目指しているのですから。
この、放電を利用する方法は前から試みられていて、
「電線などに高圧をかけることで発生する放電や静電気を利用し、作物の成長などを促す。1980年代に電力会社などが大規模な人工カミナリ装置を考案し、盛んに実験を進めていた。」
という記述も。
それに、実はこの現象は昔から知られていたことでもあります。
記事にもありますが、雷が落ちるとキノコが育つなんて言い伝えがある地方もあって、
すでに実用化されてる部分もあるそうなんです。
空気からアンモニアを合成して化学肥料を作り、ノーベル賞を受賞したハーパーも
放電から窒素肥料を作ることが実用化されたら「負けた!」と思うかもしれません。
自然エネルギーから肥料を得られるということは、地域の自立に必要な
「種や肥料が大企業依存から抜け出すこと」の大きな足がかりとなります。
放電に使う電力を地域資源で実現できれば、生産者の肥料負担を軽減することもできる。
これは地域再生にとってすごくいいニュースなわけですが、
肥料メーカーが黙っているかどうか。そこが問題です。
RSS feed for comments on this post. / TrackBack URI