去る1月23日、東工大で行われた社会人向け講座「サービスシステム科学の展開」を聴講しました。
サービスシステム科学とは、先進国でのGDP率の多くを占めるサービス産業の現状を踏まえ、
サービスを生み出すことそのものを研究する分野なのですが、
この言葉を聞いた時、ピンとくるものがあったのです。そして、その予想は的中!
内容は、モノを売る時代から価値を売る時代に変わった今、
「価値協奏」という新たな価値を作るフレームワークが必要で、
そのためにはキュレーションという機能が不可欠という話でした。
その事例として紹介されたのが、JR東日本。
自らを鉄道産業ではなく「キュレーション産業」と呼んでいるそうです。「?」と思った方が多いんじゃないでしょうか?
これはエキナカの「ecute(エキュート)」戦略の事なんです。
エキナカは品川駅リニューアルの際に登場して、その斬新な企画で大きな話題を集めました。
この戦略、「電車に乗るために駅へ行く」から「駅へ行くために駅へ行く」という風に価値転換を図ることが狙いです。
方法としては、現在6駅で展開しているecuteに、駅ごとに統一したコンセプトを設け、
出店する店を「キュレーション(再構成)」して成功しているとの事。
エキナカのブランド化のために、店舗をキュレーションする。
ここで使われた「再構成」という意味は、私が農業において使ってきたキュレーションと重なる部分が多いです。
この事例の他にも、印象的なキーワードがいろいろありました。
・モノからコトへの転換
・モノづくりから価値づくりへ
・品質追求から価値追求へ
・交換価値から協創価値へ
・T型人間(ひとつの専門分野と広く浅い知識を持った人)が新たな価値を創造できる
などなど。このなかのいくつかは、私が何度もこのブログでも言ってきたこと!
私の狙いは時代の潮流を掴んでいるということです。
農業分野でも、一次産業だけでなく二次、三次分野の取り込みが必要で、
「六次産業化」と言われていることは今までも紹介してきました。
上で紹介したキーワードのなかに、「協創価値」という言葉があるのですが、
これは、生産者や小売業者が、最終消費者と協奏して価値を創り出すということです。
物語を売るとか、直売所での対面販売を行うなど、農業の6次産業化においてよく取り上げられる方法は、
まさに「協創価値」であるわけです。
体験農園や農業レストランもこれに相当すると思います。
この価値を生み出すメカニズムを科学的に理解する試みは、非常に面白いと思いました。
キュレーターには押さえておくのが必須の研究分野かもしれません!
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