2月19日、まちむら機構主催の「地産地消調査報告会」に行ってきました。
学校、病院、産業それぞれの給食における、地産地消の先行事例の話や、
パネルディスカッションでは行政との軋轢などの本音ベースの議論が聞けて、
大変有意義な時間でした。
地域食材を給食という形で提供することの難しさや、
それを乗り越えていくために各社どのような工夫をしてきたのか、本当に参考になりました。
生産者、加工業者、地元の流通をつなぐコーディネーター役の重要さ、
生産・調理まで一貫して手がけることの必要性、
保存技術が給食革新を生んでいることがよく分かったと同時に、
これを進めてきたリーダー役の働きに感動すら覚えました。
学校給食では、農政と文科省の縦割り行政や学校給食運用法の前例主義による縛りなど、
行政面での壁があることが議論の的になりました。
特に給食センターでは「当日仕入れ、当日出荷」といういわれなき縛りがあるため、地元の生鮮食材をなかなか使えず、
中国産冷凍食材のほうが使い勝手がいいと言われてしまう現状には大変驚きました。
宮城県の農政担当である参加者から文科省批判まで出る始末!
当日仕入れとなると、地元の生鮮野菜などは
その日に納入し皮むきなどの下準備をして加工、調理することになる。
つまり前日に下準備しておくことができないので、導入が難しいのです。
学校給食でこそ地産地消を取り入れたいところですが、その実現のためには、
まずこの「法の壁」を取り除くことが必要となります。
そして、今ではこの「当日仕入れ」という法の解釈はもうなくなっていると
文科省が公言していることも紹介されました。
導入はいよいよこれからが本番といったところでしょうか?
身土不二という言葉がありますが、これは私にとってのキーワードのひとつです。
これは玄米菜食中心の独自の健康法を展開した「食養会」というところのスローガンで、
「地元の旬のものや伝統食が体に一番いい」という意味で、それを仏教用語の「身土不二」に掛けあわせたもの。
もともとは「因果応報」と同じような意味だそうで、その意味を考えても興味深い言葉です。
身土不二って、地産地消を推進する大きな理由のひとつだと思うんです。
産業界からは、社員食堂での地産地消のメリットとして、
フードマイレージ(食物の輸送距離)という観点から、CO2削減というメリットを打ち出せるという話を聞きました。
体にもよく、環境にもよい。それだけでなく、地産地消の給食は、食品残さや廃油の活用など
「食の循環の仕組み」に欠かせないものだとも思っています。
地産地消の給食の前にある、あらゆる障壁を乗り越えるには、
関連要素や組織をコーディネートする人の力が本当に重要で、
それが私の目指す「アグリキュレーター」という仕事の本質でもあるのですが、
今回の報告会で出てきた人たちというのは、私の目指す仕事の理想形であると感じました。
どう進んでいけばいいのか、大きなヒントを頂いた気持ちです。
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