パルテノン多摩の企画展示「お茶で一服~自家用茶と多摩のくらし~」を見に行ってきました。
自家用車じゃないですよ。自家用「茶」です。
なんだか静岡のお茶農家の話みたいですが、実は首都圏でもお茶を作っているところはけっこうあります。埼玉の狭山茶なんか、有名ですね。
東京でも多摩地域では、茶畑というのではないですが、それぞれの家でお茶の木を生垣にしたり、
防風林として使ったりしながら、緑茶を作っていたそうなんです。
それが「自家用茶」というわけです。もちろん、それぞれの家でお茶の味も違う。「自家ブランド」とも言えますね。
多摩ではお茶だけでなく、製造過程で使う竹細工の道具も作っていて、
静岡や川越などから「チャシキ」と呼ばれる道具の製作を請け負っていた時期もあるようです。
それが、農協へ茶葉を出して、製茶(葉っぱをお茶に加工する工程)を外部へ依頼するようになってから、
自分の家でお茶を作ることが無くなったとのこと。
多摩のお茶製造は、その地域で多様な技術を持って生産者として自活していたという意味で、まさに
「ローカル・ダイバーシティ・システム」そのものです。
それが農協を通した分業・流通システムの発達にともなって消滅してしまい、
それぞれの家が持っていた「自家ブランド」という多様性も均一化されてしまった。
結果他に依存する、この場合だったらお茶をお店から買って飲むようになる生活になってしまいました。
多様性は地域活性の要だと何度も書いてきましたが、「百姓」というのは「百の姓(かばね=職業)ができる人」だと聞いたこともあります。
つまり、農業生産者は多様性そのものであった時期があり、
農を再生することで、多様性を獲得して地域復興を成し遂げることができる。
今回の企画展示を見て、そう思いました。
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